以前より、「オーダー家具の進め方を具体的に教えて欲しい」というご要望がありましたので、先日製作しましたリビングボードを例に、簡単にご紹介させていただきます。
【01:ヒアリング】
お客様のご要望は、
1.基本的に本をメインに収納したい
2.扉はルーバー仕様
3.天板は白系がお好み
4.TVボード右横のスペースにグリーンを設置予定
リビングの壁掛けTVの下側にまとまったスペースがあり、現状はお子様の絵本などが本棚に収納されていますが、ついつい散らかってしまいがちなので、オーダー家具でリビングをスッキリさせたいとのご依頼です。
ヒアリング後、比較的ご近所ということもありそのままご自宅にお伺いして、採寸しながらお部屋の雰囲気を確認させていただきました。
壁面にアクセントタイルが貼られていて、このタイルとの調和がプランニングのポイントになりそうです。
【02:初回プラン】
ルーバー扉を中心に天板から右側板までつなげることで、左袖壁も含めた全体のバランスを整えています。また天板と扉をそれぞれ異なる素材で組み合わせて、シンプルなデザインにリズムを持たせています。天板の色は壁面タイルのトーンをベースに少しだけ濃い感じに。
お客様からも概ね好印象で、このプランをベースにこれから詳細を詰めていくことになりました。
【03:変更打ち合わせ1】
次回の御打ち合わせで、いくつか変更のご要望を頂きました。
1.左壁側はお子様の絵本などを収納予定で、普段は扉を開け放しにした状態でお子様が絵本の出し入れをしやすくし、来客時のみ扉を閉じる仕様にしたい。
2.天板についていろいろな案を検討してみたい。(木天板や大理石なども気になる)
ということで変更した3つのプランがこちらです。
【04:修正プラン】
A案:初回プランをベースに左側のみ水平収納扉に変更
また、面材をフローリングと同じブラックチェリーに変更
B案:天板と右側板を切り離して、木天板仕様に。
天板の水平ラインを強調させるために、天板と扉の間にスリットを設けています。
C案:B案をベースに、天板をクォーツストーン仕様に。
後日ご検討頂きました結果、クォーツストーン天板仕様のC案に決定。
【05:変更打ち合わせ2】
さらに詳細を詰めていく中で、2点ほど追加の変更ご依頼がありました。
3.ルーバー扉に隙間から入るホコリが少し気になるので、隙間を塞ぎたい。
4.木部の色を床と同色に合わせたい。
3については、内部のAV機器を収納する予定がないため塞いでも問題なしとのことで、ルーバー扉ではなく、リブ扉仕様に変更。
また、4についてはブラックチェリー材が一般的な木材より経年による色の変化が早くて大きいことをご説明しつつ、塗装サンプルを製作して検討することになりました。
【06:最終プラン】
最終案のイメージ。
CGでは確認が難しい塗装色は、実際に数パターンの塗装サンプルを製作して、ご確認いただきます。
全体のサイズをはじめ、天板や扉の素材、塗装色など各検討項目が全て決まり、無事最終仕様が確定しました。
御打ち合わせ回数のイメージとしては、少ない方で2回、平均するとだいたい3回〜5回ぐらいだと思います。
なお、今回は最初にヒアリングしてから仕様が確定するまでに4回の打ち合わせ、また途中の細かいやりとりはメールで行いました。
初回プランからほぼ変更なく仕様決定する場合もあり、また変更に変更を重ねて初回プランとは全く異なる最終案になることもあります。
ただし、初回プランで即決される場合は、逆に自分が不安になってしまって、こちらから宿題というか、ご検討をお願いすることもあります。
オーダー家具は、基本的に永く使うことを前提にご検討されると思います。
だからこそ、お客様が安心して永くお使いいただけるように、そして後悔なく心からご満足いただけるように、製品になるまでの打ち合わせを大切に、できる限り時間をかけてプランすることをいつも心がけています。
製作させて頂きましたリビングボードです。
リブ扉であれば、ルーバーの雰囲気は残しつつ、ほこりを気にしなくて良いのでお掃除が気になる方にオススメです。
こちらが水平収納扉。
閉めるときにゆっくり閉まるので、お子様でも安心してご使用できます。